地学教室 教育
   Education

ここでは地学教室で取り組んでいる教育活動等を紹介しています


地学教室の講義・実験

地学教室スタッフは主に下記の講義・実験を担当しています。
学部生対象:基礎地学(1年生);理科実験観察法(分担,1年生);地球科学概論I&II(2年生);基礎地学実験(2年生);第四紀学(3年生);火山と岩石(3年生 ※H26年度〜);地球科学実験(3年生);地球科学演習(2〜4年生);地質野外実習(2〜4年生);地球の環境(共通
教育);火山のはなし(共通教育);日本海地域の自然と環境(オムニバスの一部,共通教育)
大学院生対象:地球科学特論Iⅈ地域自然史研究

理科実験観察法(1年生)
学部1年生対象の理科実験観察法では,主に小学校教員免許取得希望の学生さん達を対象に,理科単元「流れる水のはたらき」「大地のつくりと変化」に関係する内容の地学実験(地形・岩石)を実施します。高校で地学を受講していない学生さん達でも問題なく取り組めるように丁寧に実験を進めてゆきます。下の写真は,2013年度の理科実験観察法の様子(一部)です。
川原の石の観察
川原の石の起源や岩石の種類・特徴・成因に関する説明をきいた後,実際に複数の石を観察してそれらが何岩なのかをグループでワイワイ議論しながら考えます.この時観察する石は,主に県内から集めたもの(藤井さんのコレクション)です.
川原の石の観察2:
答え合わせをしながらそれぞれの石の詳しい鑑定方法を示します.上の写真は石灰岩にクエン酸をかけると泡(二酸化炭素)が発生することを確認している様子.こういった情報を記載し,必要ならばスケッチをして自分だけの岩石鑑定ノートを作成します.
川原の石の観察3:
次はいよいよ各自が5個ずつ石を鑑定します.自分が作成した岩石鑑定ノートだけが頼りです.さて全ての石を鑑定できるようになったでしょうか?
川原の石の観察4:
石を鑑定するのみではなく,それぞれの石の重さと体積をはかって密度を求めます.上の写真は水の浮力を利用して岩石の体積を調べている様子.この作業で得たデータを基に,最後に色々考察をしてもらいます.

基礎地学実験(2年生)
学部2年生対象の基礎地学実験では,1年生の理科実験観察法よりも幅広く専門的な内容に取り組みます。室内実験と野外実習を組み合わせることで理解を深めてゆきます。この実験を通じて学ぶ内容は,我々が住む土地の成り立ちなどを考える上での基礎となります。下の写真は,2013年度の基礎地学実験の様子(一部)です。
歩測
各自20mを歩く際の歩数をカウントしています.3回歩いて平均値を算出し,自分の一歩が何cmなのかを調べます.歩きながらお話しているとカウントを忘れてしまうので要注意です.
ルートマップ作成:
歩測とクリノメータで建物周辺のルートマップを作成しています.さてスタートとゴールの地点がピッタリ合うでしょうか?
防災センター見学:
福井市防災センターにて地震体験をしています.1948年の福井地震の際の揺れを体感できます.福井地震の写真資料などもたくさんあり,詳しく学ぶことができました.その他,体験コーナーで台風体験(風速20m)をしました.
気象台見学:
福井地方気象台へ見学に行き,地上気象観測の装置について詳しく解説していただきました.
化石レプリカ作成
歯科用印象材などを使って化石標本の型をとったあと,そこへ石膏を流し込んでレプリカをつくります.アンモナイト,三葉虫,メガロドンの歯などから各自化石標本を選んで作業に取り組みます.
化石レプリカ作成2:
石膏がかたまったら型から取り出し,着色して仕上げます.色塗りが上手くいくと本物と見分けが難しいくらいの完成度になります.真っ白だった石膏にいのちが吹き込まれてゆくような作業です.
七輪でマグマをつくる実験:
七輪,木炭,ドライヤーなどを使って砂を加熱し,とかしてマグマをつくります.砂がとけてゆく様子を観察しながら,放射温度計で温度をはかります.
七輪でマグマをつくる実験2:
加熱開始から約20分間でステンレス容器の中の砂がとけました.容器の中でマグマが対流する様子が観察できます.さらにこのマグマをつかって溶岩の流れる様子や溶岩と水が接触する様子を観察しました.


高校生を対象とした教育活動等

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)
地学教室では,SSH指定高校生を対象に実験などを実施しています。高校で地学を学んでいない学生さん達でも楽しめるような実験・分析を準備しています。SSHの企画が,地学への興味を高めてもらえるきっかけになればと考えています。実物標本に触れ,実際に自分で観察・分析し,地球のことについてあれこれ考えてみると案外楽しいものです。
下の写真は,2012年8月7日に実施した福井県立藤島高校SSHサイエンスチャレンジ(いろいろなものの密度を測って地球の構造を理解する)の様子です。
海水の密度を測る
福井県内の二箇所の異なる海岸から海水を採取して,体積と質量から密度を算出しました.同じ温度の水道水に比べて海水の密度が高いことを実感.
空気の重さ:
真空ポンプを使って真空に近づけたデシケータと,空気を入れたデシケータの質量を量って比較することにより,空気の重さを実感.
岩石・鉱物の密度を測る:
カメラ用三脚に取り付けたひもに岩石・鉱物をくくりつけ,水の入ったビーカーに静かに入れて体積を求めます.その体積と試料重量から密度を求めます.ちなみに地学教室の標本から得られた密度(隕鉄:7.5,石質隕石:3.5,かんらん石:3.2, etc.)はなかなか良い値でした.
SPT重液を使った実験:
密度の異なる2層のSPT(ポリタングステン酸ナトリウム)溶液をつくり,そこへかんらん石,斑レイ岩,花崗岩を投入.濃度をうまくコントロールすると写真のように斑レイ岩を2層の境界に浮かせることができます.最上部の透明な層は水です.

ふくい理数グランプリ
福井県教育庁高校教育課主催の「ふくい理数グランプリ」に,地学教室スタッフはアドバイサーとして参加しています。県内高校の地学教員が中心となって講義・課題演習をつくり,高校生たちが3人1チームでその課題に挑戦します。観察結果・考察の内容だけでなく,チームワークも重要です。数チームがチャレンジステージ,グランプリ本選を競い,科学の甲子園全国大会を目指します。ふくい理数グランプリの会場として地学教室実験室を提供することにより,高校生が大学を訪れる機会を増やせればと考えています。
下の写真は,2012年9月9日開催の ふくい理数グランプリ・チャレンジステージ(地学部門)の様子です(参加 7チーム/19名/6校)。
前半は課題に取り組むための講義
奥村先生(羽水高校)による「火成岩の成因と分類」に関するレクチャー.時々クイズを交えながら進行し,中学校で学んだ知識を呼び覚まします.高校で地学を学んでいない学生達も楽しみながら復習できる内容でした。
後半はチームで課題に取り組む:
レクチャー終了後,1チーム1テーブルに分かれました.少し休憩をした後,いよいよ後半の課題演習に挑戦です.各チームに1箱ずつ木箱が手渡されました.中には8つの岩石標本が.
課題に取り組むためのアイテム:
岩石と一緒に,各チームに1台ずつ携帯型双眼実体顕微鏡が配られました.前半のレクチャーの内容を踏まえ,このアイテムを使って,木箱の中の岩石を同定する,というのがチャレンジステージの課題でした.
チーム内でのアツい議論:
どのチームもかなり熱心に観察していたのが印象的でした.「おれは○○岩と思う」「えっ,その根拠は?」というような議論が繰り広げられていて感心しました.この演習を踏まえて,次はグランプリ本選に挑みます.