地学教室 研究分野
   Research Fields

ここでは地学教室で取り組んでいる主な研究の紹介をしています

 第四紀学・構造地質学  Quaternary Research, Structural Geology
大地の成り立ち
  大地の成り立ちを探る
身の回りの大地は,最近100万年間ぐらいの間の侵食作用や堆積作用によって,また断層運動等に伴う地殻変動によって,徐々にその形を変えてきました。私たちが見ている山や谷,台地や平野は,このような地質的作用の集大成です。
 地質学的な作用は,時に急激な変化として現れることがあります。例えば,大雨が降れば,山間部では土砂崩れが起こり,川の水によって運ばれ,平野に溢れ出し,低地を埋積してゆきます。断層活動があれば,強い揺れが発生し,山が大きく崩れることもあります。また地面が隆起したり沈降したりして,段差が生じることもあります。このような急激な変化は,そこに住む人々にとっては,時には命を落とすほどの脅威となるものです。
 私の研究では,現在の大地の姿から,この地域がどのような地質学的な作用を受けてきたか,ひも解くことができればと考えています。もし大地の成り立ちを解明できれば,今後起きるかもしれない大地の鼓動をある程度見通せるのではと考えています。

 火山岩石学・地球化学  Igneous Petrology, Geochemistry
ハワイのパホイホイ溶岩
 火山岩からマグマの起源を探る
火山から噴出したマグマの固化物である火山岩には,その火山の下のマグマ溜りやマグマの起源に関する情報が秘められています。我々は火山岩を詳しく調べることにより,そのマグマが生まれてから火山を通じ地表へ噴出するまでのプロセスや,マグマが生まれた背景に関する手がかりを得たいと考えています。具体的には,野外調査で採取した火山岩試料を研究室へ持ち帰り,顕微鏡観察,化学分析等を行っています。現在特に力を入れて取り組んでいる課題は,(1) カルデラ火山噴火 (超巨大噴火) の前後におけるマグマ供給システムの変化, (2) 沈み込み帯におけるマントル−地殻間の物質循環 などです。また,福井県内および周辺地域には日本海形成に関連したと考えられる火山岩が広く分布していますので,それらの火山活動史やマグマの起源などについても今後明らかにしてゆきたいと考えています。

 古地磁気学  Paleomagnetism
鬼界アカホヤ火山灰
 テフラの古地磁気方位から噴出時の地球磁場を探る
地球磁場はゆっくりと変化しています。過去の地球磁場を探るため,私たちは火山噴出物に着目して研究を行っています。溶岩の冷却時,火山灰等の堆積時には,それらに含まれる磁性鉱物が地球磁場の向きに揃い,その磁化方位が保存されます。これらを調べることにより,噴出した時代の地球磁場の様子を知ることができます。地球磁場の様子を明らかにするためには,同じ時代の広い範囲を調べる必要がありますが,最も適していると考えられるのが火山灰等のテフラ (火山砕屑物) です。火山から噴出したテフラのうち,細かいものは上空に広がり,遠くまで運ばれて広い範囲に堆積するからです。私たちは,噴出年代のわかっている広域テフラ (姶良Tnテフラや阿蘇4テフラ等)を日本全国の多数地点から採取し,古地磁気測定を行い,そのテフラが噴出した時代の日本列島における地球磁場の様子を探ってきました。さらに時代の異なる複数の広域テフラ (鬼界アカホヤテフラ,大山倉吉テフラ等)についても測定を続けており,これらのデータが蓄積されることにより,日本列島における地磁気の永年変化が明らかになると期待しています。